スノーピークの修正力と焚火台解剖

しく

2020年12月24日 22:15



今年も届きましたね。

万年ブラック会員のピーカーブロガーのワタクシにも、

ようやく到着しましたよ、 2021年のカタログが。

あ、ブラックは・・・腹黒の方のブラックですよ(爆)

というわけで、万年ホワイト会員が送る、スノーピークのカタログチェック。

(↑結局ホワイト会員かい(爆))



まあ、スノピのカタログチェック・・・もう見飽きたよね?

他ブログで既出ネタのオンパレード・・・行ってみよう!(爆)










修正力 of 2020



皆さん、覚えているでしょうか?

2020年のスノピカタログの表紙・・・

The お寺キャンプ(爆)



なんか、もうこうして見ると、腐海に生息する王蟲か、平家の落武者の夜営にしか見えませんが(笑)

この表紙を見て「ど〜なってるの?」と思ったのは、

小倉智昭 だけではなかったでしょう(爆)



2019/12/14




それが今年は、これですからね〜。

これぞ、王道の絶景キャンプ

同じ新潟のADAのカタログにも通じるような、

未経験者のハートをガッチリ鷲掴み間違いなしの、素晴らしい写真ですね。



これはまさしくキャンプで迎えるマジックアワーそのもので、

写真的にも最も美しく撮れる時間帯です

、、、って、素人の私に言われなくても、狙って撮ってますよね(笑)






表紙だけでなく、中身の方でも、前回10ページ以上にわたって登場した3代目新社長も

今回は露出を控えて2ページほどでしょうか。

どうやら先代の社長が予定していた米国本格進出が、

コロナ影響で延期になったようですので、

それが良い方向へ働いたのかもしれませんね・・・これが「スノピの修正力」の実態?



まあ、何はともあれ、ノーマルな表紙に戻って良かったです(笑)





しかし、冒頭のSPWの記事・・・

コロナ予防策を徹底とか言いつつ、

その内容は、ちょっと脇が甘過ぎるような・・・?










年間4万台の焚火台を8人で製造!





さて、今回のカタログで一番興味を持ったのは153ページ。

焚火台を自社HQで製造していたけど、これからはLサイズだけ外部委託します、という話。

それ自体は有名な話なのかもしれませんが、

私が注目したのは、

年間4万台の焚火台を8人で

製造していたという数字です。





S, M, L の製造数内訳はわかりませんが、真ん中のMで売り上げを計算してみますと、

4万台の売り上げは、12,600円(税別) × 4万台 ≒ 5億円 にも達します。

凄いですね。





スノーピークの2019年の売り上げは、142億円ですから、

5/142=0.035・・・実に 3.5% が焚火台の売り上げに相当するわけですね。

(全部Mサイズだった場合)





しかし、これほどの数の焚火台を8人で製造するのは、

果たして妥当なのかどうなのか?

下世話な話ですが、検証せずにはいられませんね(爆)





・・・というわけで、余計なお世話シリーズ発動〜♪










焚火台の製造原価内訳は?



まさか、これが焚き火の道具とはね〜。。。

知らない人が見たら、びっくりたまげる美しさの焚火台。

スノピ本社SPHQで製造されているというのを知っただけで、

オーラを感じてしまいますね(笑)










しかし、製造といっても、メイン工程はこのモリモリの溶接部になりそうです。

これも手作業ではなくて、溶接ロボットがやっているようですが。

(治具にセットするのは人間みたいですね。)






さて、焚火台の製造原価内訳を考えるにあたって、

まず、この12,600円の焚火台Mの原価率はいくらなのか?というのが気になります。

スポオソセールで20%オフで売っているところを見ると、

80%以下であることは間違いありませんが(笑)





しかし、上場企業ですので、そのあたりの数字も公表されているようですね。

あまり詳しくないので間違えてるかもしれませんが「売上原価」というのが、

製造にかかった原価(全部)に該当するようです。

そこから出てきた数字は・・・売上原価率46%





え?!

原価5割しか、かかってないの?

残り5割丸儲け?

と一瞬思ってしまいますが、

「販売費及び一般管理費」という名目で「売上原価」とほぼ同じ金額が計上されていますから、

製造以外にかかるお金が膨大なんですね。

これは、直営店の運営費用がほとんどでしょうか。





ちょっと話が逸れましたが、原価率46% で計算してみましょう。

12,600円(税別) × 4万台 × 46% = 2.32億円

つまり貴方がスノピの工場長なら、こう命令されるわけです。

2.32億円で、年間4万台の焚火台を製造せよ!











2.32億円で、年間4万台の焚火台を製造するには?



いや〜、しかし会社というのは、いつの時代も無茶苦茶なことを言いますね(爆)

こんな無茶振りをしておいて、片や余計なアパレ・・・(以下自粛(爆))

まあ、仕事ですので(←ただのブログだよね(笑))

2.32億円で、年間4万台の焚火台を作る方法を考えてみましょうか。





【材料費】

まずは、材料費。

これが鬼です。バカになりません。

焚火台Mの質量は、驚いたことに 3.5kg もあります。

何のステンレスかわかりませんが、ステンレスです。

kgあたり400円 くらいが相場でしょうか(適当です)

(ガレージブランドが大好きな鉄だと、kgあたり80円です(これも適当))

3.5kg × 400円=1,400円・・・材料費だけで 1,400円 です。

焚火台M 12,600円 × 46% = 5,796円の許された製造原価のうち1,400円

実に24%が材料費なのです。

これは、ちょっとステンレスは止めて、SPCC(鉄)のメッキか黒皮にでも変えてくれと、

工場長からクレームが来そうです(爆)





しかし、ここは天下のスノピです。

使っているうちにサビサビになるような安物を作るのはスノピのポリシーに反します。

目先の利益しか考えられないガレージブランドとは違うのです。

(そうでないガレージブランドも、あるとは思いますが)









【外注加工費】

スノピの焚火台の製造について調べてみると、驚いたことに三角板形状のプレス打ち抜きも

どうやら自社で行っているようです。

そのときに、この刻印も同時に出来ているのかな?







他の工程で、外部業者に委託していそうなのは、脚部の切断と曲げ加工でしょう。

(「自社で一貫生産」という記事もあるので違うかもしれません)

焚火台1台分の脚の加工費用・・・いくらなのでしょうか?



曲げは3箇所。

大きな曲げ部品が4つと、短い直線部品が4つ。

よく見ると、それを通すスリーブ状の部品も8つあります。

1台分の脚の加工時間が例えば10分として(適当です)

外注先の加工レートが3,500円/時だとすると、

3,500円 × 1/6 = 583円

あんまり適当なことを書くと実際の業者に怒られそうですので、

(そんなにもらってないわ〜、とか)

ここは話半分でお願いします(汗)

恐らく自動車の部品だと、同じ物でも1/10の値段くらいになりそうですが、

キャンプ用品の生産規模だと、どうなんでしょうね〜?









【その他 ケースとか箱とか】



スノピの焚火台って、オプションでケースが売っているので、

製品にはケースが付いてないのかと思いきや、薄いけど専用の収納ケースが付いてるんですよね。

出荷しようと思うと、段ボールの個包装もされているわけで、ここにもお金がかかります。

ほんと、モノ作りは大変だなぁ・・・

ここはよくわかりませんが、エイヤで 100円 としておきましょう。









【人件費】

さあ、怪しい計算のオンパレードで恐縮ですが、ようやくここまで来ました。

人件費は、社員かアルバイトかで変わってきますが、

全てを社員でやっているという記事を見かけたので、それを鵜呑みにしましょう。

Yahooファイナンスで調べてみますと、

スノーピーク社員の平均年収は 478万円

平均年齢は32.7歳とありますから、若い人が多いですね(びっくり)



従業員数
(単独) 332人
(連結) 452人
平均年齢 32.7歳
平均年収 4,780千円




製造部は8人ですが、この他にも調達とか生産管理とか何人か居そうですので、

人数は8人+4人=12人で計算してみましょう。

更に保険料?分の割増で×1.1にしておきます

478万円 × 1.1 × 12人 = 6,309万円









【溶接ワイヤー】

おーい(爆)

いやね〜、あれだけモリモリにしたら、溶接ワイヤーだってあっという間に無くなりますよね。

一体どれだけ使うのだろうか?



溶接箇所は80箇所以上という表記の記事がありましたが、

パッと見、モリモリの溶接は50箇所くらいでしょうかね。

モノタロウで調べてみるとφ1.6mmのワイヤ12.5kgで5万円

12.5kg/(1mあたりの質量)= 12.5/(1.6x1.6x3.14/4x1,000/1,000x8) = 12.5kg / 16g = 781m(長っ!)

781mで5万円です。

溶接の大きさから1箇所あたり30mmくらいは使ってそうなので(適当です)

5万円/781m × 0.03m × 50箇所 = 96円 ≒ 100円

なんと溶接ワイヤだけで、1台あたり100円もかかっています(ほんとか?(笑))

まあ、こういうのは桁感覚だけでも合ってればいいんですよ(開き直り(爆))








【電気代】

・・・どうやら調べてみると、自動溶接機の消費電力はkWオーダーのようです。

これは家庭用の6畳エアコンの消費電力が500W程度ということと比較すると、

エアコン複数台分(溶接機1台あたり)に相当します。

溶接ロボットが何台あるのかはわかりませんが、1台だけではとても間に合わないでしょうから複数台。

ということは、家庭の電気代ですら2万円とかしているのに、

工場の電気代はその10倍以上は簡単に超えそうです。

その他空調や照明もありますから、月50万円〜100万円くらいするのでしょうか?

大口契約なので単価が安いのかもしれませんが、

ここはエイヤで、75万円/月としてみましょう。









【機械設備】

一番過酷に使われているのは、ロボットの自動溶接機と三角板の打ち抜きプレスでしょうか。

工場の写真を見ると、加工機が5台くらいあるようです。

例えば2,000万円の加工機が5台だったとして1億円。

10年で壊れるとして、

1億円/10年 = 1,000万円/年









【金型】

4万台の焚火台に使われる三角板は16万枚。

製造中の写真を見ると、2面1対で抜かれているようですので、

8万ショット/年ということになります。

金型の世界は、ものすごく専門性が高く、我々素人では全くわからないことが多いですが、

例えば、この金型を1ヶ月に1回新品に交換・・・といったことは考えにくいです。

せめて半年か1年は持って欲しいという願望で(笑)考えると、

1年に1.5回の交換・・・としましょうか(適当です(笑))

プレス金型の値段はおいくら万円でしょうか?

なんとなく、プラスチックの射出成形の金型よりは安そうですが、

500万円 × 1.5回/年 = 750万円/年 としておきましょう。








【雑費(副資材)】

よくよく考えたらステンレスのTIG溶接には、アルゴンガスが付き物でした。

他にも、汚れを拭きあげる溶剤や、消耗する工具など、

細かいお金が色々かかりそうです。

アルゴンガスの値段がわかりませんが、

雑費で 100万円/月 としましょうかね。










【合計】

あ〜、もう疲れましたね。

適当な計算の積み重ねで、かなりの誤差が生じてそうです(爆)

大体、もう誰も読んでないと思うので、あとは流しましょう(爆々)


【材料費】1,400円 × 4万個 = 5,600万円
【外注加工費】583円 × 4万個 = 2,332万円
【その他 ケース】 100円 × 4万個 = 400万円
【人件費】6,309万円/年
【溶接ワイヤー】100円 × 4万個 = 400万円
【電気代】75万円/月 × 12ヶ月 = 900万円
【機械設備】1,000万円/年
【金型】750万円/年
【雑費】100万円/月 × 12ヶ月 = 1,200万円



【合計】18,891万円 = 1億8,891万円



あれ? 2.32億円 の予定が 1.89億円とは???

ちょっと足りないにも程があります(爆)

何を見落としてそうですね(汗)





・・・と、何日かかけて、ここまで書いていたのですが(←ヒマか(爆))

今日、重大な見落としに気付きました。

実は、スノピの販売先は、最終ユーザーへの直売が約28%

残り 72% は販売店(スポオソなど)への販売だったのです。





これが、何を意味するかというと、直売の場合は定価まるまるがスノピの売上になりますが、

販売店への販売は、当然卸売価格となり、定価の約70%のようです。

(投資家用の調査レポートみたいなのに書いてありました。google検索で見つけた。)





ということは、冒頭で



12,600円(税別) × 4万台 × 46% = 2.32億円



という計算を得意気に披露しましたが(爆)

これが大きな間違いで、上記の事情を踏まえると、



(直売分)12,600円 × 4万台 × 28% × 46% + (卸売分)12,600円 x 70% × 4万台 x 72% × 46%

=(直売分)6,491万円 + (卸売分)1億1,685万円 = 合計 1億8176 万円





ん?!





■私が適当な積み上げ計算で出した金額・・・1.89億円

■販売先による売上金額差を考慮して求めた売上原価・・・1.82億円





・・・惜しいっ!(爆)

つまり、、、更に700万円のコストダウンが必要ですね(汗)

それにしても、うまい具合によく合いました。

あまりに合わないから、人件費をレートに置き換えて誤魔化そうかと思いましたが、

真実が知れて良かったです(←真実じゃないよね(爆))









調べてみたらスノピ直営店って、かなり数は少なくて、

スポオソとかヨドバシとかに入ってるのは、インストアという形態で、

これらの店舗では、定価の7割でその店に卸売していることになるんですよね。





そう考えると、スノピを応援したい人は、

あんまり無いけど直営店か、直営EC(公式HPのweb販売)で購入してあげると、

スノピの取り分が3割増えます(笑)





しかし、工場でのモノ作りはシビアに原価を定められているのに、

下流になると、販売先によって、30%も販売価格がコロッと変わるとか、

作ってる方としては、ワシらの苦労はなんやねん?!って、言いたくなるような、ならないような、、、





あと売上原価と同じだけ「販売費及び一般管理費」がかかっているというのも、

まあ何とも複雑な気分になりますよね。

スノピは、お客さんとの対話を重んじる風土だから、

これはカット出来ない部分なのかな〜?





どちらにしても、こと焚火台に関しては、

あの焚火台としては高めの定価も、きちんとした理由があって、

真面目に値付けされた金額だった

ということが、よくわかりました・・・スノピ、ブラボ〜♪(笑)












・・・というわけで?

この辺で

スノピのカタログチェック・・・他ブログで既出ネタのオンパレード

を終わりにしたいと思います。

(↑他ブログとネタ被るわけないわ〜っ! こんな暇人、他に居ない(爆))





また1年後お会いしましょう

さようなら〜♪





(おしまい)






スノーピーク(snow peak) 焚火台(amazon)
↑ここで買うとスノピの取り分は3割減ります(爆)





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