シマノ ニューBM-1 (半)オーバーホール

しく

2024年02月24日 09:53



ニューBM-1・・・といっても大して「ニュー」ではなく、

発売年は1980年代半ばであろうから、実に40年前の代物になる。

とはいえ、実釣で使用していた期間は、通算5〜10年程度と少ないため

特段不具合も無く、恐らく今でも絶好調だとは思うが、

youtube等でこの類のリールのオーバーホールを見ていたら、自分もやりたくなったので

いい暇つぶしにオーバーホールしてみることにする。

ちなみにおじさんは全くのリール分解初心者なので、元に戻せるかどうかはわかりません(爆)










今回、初めての本格的リール全バラしの餌食となったのは、

40年近く前に、父親に購入してもらったシマノの名機「ニューBM-1」である。

何が「ニュー」かというと、これの先代が元祖「BM-1」で、

シマノのルアー釣り用としては初代のベイトリールのようだ。

シマノBM-1のページ→

BM-1とニューBM-1の違いは、今回バラしてみて結構違いはあったのだが、

スペック的には、BM-1は遠心ブレーキだけなのに対して、

ニューBM-1にはマグネットブレーキも搭載されている点が大きな違いだ。

ニューBM-1は、遠心ブレーキ+マグネットブレーキというハイブリッド方式で、

これが当時小学生だった私にも、実に扱いやすいキャストフィーリングだった。











さて、今回暇つぶしとはいえw、せっかくリールをバラすので、

動画でよく見るように「筆でグリスを塗る」ことをやりたくて、

純正のグリスを買ってみた。

ベイト用のグリスは、どうやら DG04 (ACE-2)ということで、amazonで購入した。



シマノ(SHIMANO) 純正 サービス用 グリス(amazon)









そして、これまたリールOH動画でお馴染みの「パーツクリーナー」も購入した。

これまでの人生であまり関わりが無いものなので勝手がわからないが、

「プラスチックセーフ」というものを購入した。

結果的には、リール内部はプラスチック部品も多かったので、この選択はよかったと思う。

ちなみに大きさ比較でさっきのグリスを横に置いてあるが、グリスは結構小さいw



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で、まあ いよいよ分解に着手する。

ここから先は、自身の備忘録も兼ねて、写真が大量(50枚オーバー)にあるので、

ご容赦願いたいw



まずは、ハンドルを外すところから着手する。

ちなみにこの小皿は家にたまたまあったのだが、今回の用途には最適で

20枚くらいあると、工程ごとにパーツを分けておけるので非常に便利である。



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ハンドルの最後は難敵Eリングで留まっていて、これがラジオペンチではなかなか取れないのだが、

精密ドライバーのマイナスを、股ぐらに入れてこじるやり方をネットで見たので

それを真似したら簡単に外れた。










ハンドルを留めていた部品はこれだけ・・・










ハンドルの奥には#7フリクションワッシャが入っている。

取り付け向きを忘れそうなので、写真を撮っておく。

ちなみに上の#7とは、シマノの分解図の番号で、なんとこんな古いリールの分解図も

未だにシマノ公式HPで公開されている→










こうしてひとまずハンドルが外れた。










ここでローレットノブ3カ所を外して、駆動部分を本体から切り離す。

ここは普通に開けれる場所なので、昔からよく開けていた。










で、ここから先がいよいよ緊張のご開帳であるw

小ネジ2本を精密ドライバーの+で外した。

ネジは3本あるが、外すのは写真の2本である。

実は1週間前にも、グリスを買う前に中の様子を見てみたのだが、

その時の教訓で、外すのはこの2本となっている(爆)

残り一本は、裏側で貝柱のような部品(#21クラッチレバーホルダー)を留めており、

あとで外せばよい。










緊張して開けた中身は、このようになっている。

意外とシンプルな構成であり、ネットで散々見た「元祖BM-1」と比べると、

バネの本数が圧倒的に少ないことに気付く。

「BM-1」と「ニューBM-1」では、#40クラッチレバー周りのバネ構成が

大きく設計変更(コストダウン)されているのだ。

このことに触れている記事はあまり見たことがないので、

発売から40年経った2024年になって、

当時は少年だったおじさんが日の目に晒そうと思う(爆)

しかし、その後のベイト後継機「バンタム」の内部構造を見ると、

この「ニューBM-1」とほぼ同一で、ニューBM-1はシマノ・バンタムの源流と云ってよさそうだ。

(シマノの公式ページによると、バンタムが1979年となっているから、

バンタムの構造をニューBM-1に移植したのかもしれない)










内部のギアは、40年の時を経ても、何ら機能的に問題は無さそうで、

さすが、「世界のシマノ」の片鱗を感じさせる。

この辺りが、リョービと違う由縁なのかもしれない。

(当時は安いリョービのリールにもよくお世話になったが)










ハンドル側のボディカバーにはボールベアリングが入っており、

これは簡単に外れたので、洗浄とスプレー式のリールグリスを塗布した。

(今考えたらオイルの方がよかったかw)












一見プラスチックのようにも、見えるが素材は恐らくアルミで、

ところどころの部品はカシメられていて取ることは出来ない。

しかし値段を見たら#17(150円)となっているので、

本当にアルミかどうか自信がなくなってきた。

大体アルミでこんな形に出来るのだろうか?

でも外面上部の剥げているところは明らかに金属に見えるのよねぇ。

ちなみにこれは清掃後。











さて、いよいよ本丸を解体する。










#28ドライブギヤの上の部品を外す。

まず取れたのは、#22ブッシング、#23フリクションワッシャ

#23は、×2と分解図ではなっているが、ひとつしか無かったような気がする。










その下には湾曲したワッシャが3枚あった。

#24ドラグスプリングワッシャと#25フリクションワッシャだ。









上が、#24で、#25が2枚入っているのだと思う。

何か微妙に分解図と違うのだが、

何せ40年前に組み立てられた物なので真相は闇の中だ(爆)










ドライブギヤの下には、#35アイドルギヤと名付けられたギヤが入っている。

これはプラスチックであったが、全くなんともなっていない。

すごい耐久性プラスチックだ。










ドライブギヤの裏にくっ付いているスプロケットみたいなギヤには、

#34アンチリバースアッセンブリが「挟まっている」いや「挟んでいる」

これの組み方がほんと初見殺しなので、

どう組まれているかをよく確認してから外さないとわからなくなる。要注意。





↓前回様子見をした時に、たまたま撮っていた初期状態。

 スプロケットっぽいギアを上の薄い銅板で挟んでいる。










ところで、このアセンブリがこれ以上バラせない・・・なんでだろう?










ただ、ここにはアスベストのドラグが入っているという情報を目にしたので、

これ以上バラすのはヤメて、外側だけ拭いておいた。










次に#35アイドルギヤを取り出す。

これの役目は何なのかな?と思ったら、

合体後にレベルワインダー側のギヤへ伝達しているようだ。

大した力は掛からない部位なので、プラスチックが使われている。










アイドルギヤの下には1枚、#36アイドルギヤワッシャが入っていた。










アイドルギヤは洗浄したらキレイなプラスチックが出てきた。

やはりパーツクリーナーはプラスチックセーフにしておいてよかった。



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さあ、今度はクラッチレバー側に着手する。










#33ヨークは、簡単に引き抜ける。









ヨークの真ん中に付いているギヤが、#30ピニオンギヤアセンブリだ。

ここにスプールの軸が、入ったり抜けたりするのだろう。









スプール軸の二面幅部分がそれだ。

ちなみに横に両手を伸ばしているのが遠心ブレーキで、

確かブレーキ強度を「黒」と「青」のコマの使い分けで調節出来たが、

現在「青」は、行方不明だw









大分スッキリしたが、まだ大物が残っている。

#40クラッチレバーアセンブリだ。










まずは「大阪ガス」のような形をしたバネを外す。

以前ダイワのスピニングリールで、少し形状は違うが、バネが疲労骨折した経験があるので、

折れたら終わりだな・・・と思いながらそーっと外す。

意外と簡単に外れた。










あとは小さいEリングを外すと、クラッチレバーが外れた。










これで機構部分は全部外れた。

これ全部が、#37セットプレートアセンブリなのだろうか。










パーツクリーナーできれいにする。










次はいよいよレベルワインダーに着手する。

実はここのグリスが枯れていたので、今回オーバーホールしたくなったのだ。

まあ、ここだけなら外からグリス塗れるけどw










レベルワインダー(#48ラインガイド)は下からマイナスドライバーで分解出来そうである。










ただ、左のカバーを外さないと、外れないことに気付いた。

まずは5本の小ネジを精密ドライバーで回して、










カバーを外すと、Eリングで#42ウォームシャフトが留まっていた。










Eリングを外すと、#42ウォームシャフトが抜ける。










それから先ほどの続き、#48ラインガイドの下側を分解する。

外れた部品はこれら。










実はここが一番悩ましかった。

これは#47ラインガイドボールかと思ったら「ポール」だった。

ああ、「ボール」と読み間違えて余計な心配をしたよw










#45ポールキャップ、#46ラインガイドポールワッシャ2枚、#47ラインガイドポール

これらの構成部品だが、どうして#45と#46の真ん中に穴が空いているのだろう?



正直理由が全然わからん。

実は「ポール」を「ボール」と読み間違えて、小さいボールがグリスに埋れていて

誤って捨ててしまったかと冷や汗をかいたが、youtubeでバンタムのメンテ動画を見たところ、

ここには「ボール」など存在していなかった・・・しかし穴の理由がよくわからんことには変わりない。

誰か教えてください。出来れば40年前の設計者の方w













外した円筒は#44レベルワイドガード










#48ラインガイドは、パーツクリーナーをかけたら、みるみる汚くなってしまった。

これはプラが浸食されたというより、汚れが浮き上がったのかな?

水拭きしたらある程度はキレイになった。










#42ウォームシャフト周りもパーツクリーナーですっきりしていい感じ。










調子に乗って、マグネット側のベアリングも外してみる。










こんなので留まってました。









外れたのは#59ベアリングスペーサと#15ボールベアリング

その後ろにあるはずの#60スペーサBは、出てこなかった。

あと、ここのボールベアリングは強烈に「着磁」していた。










#54の止め輪は、どうにも外れそうも無いので、これ以上の分解は諦め。

(いちおうそれっぽい工具は持っていたのだが、硬くて工具先端が曲がってしまった。)










この塊が、#61フレームアセンブリ

各部はカシメられているのか、外すことは出来ない。

確かBM-1では各ポールを外せていたと思う。

あと、マグネットブレーキのダイヤルの裏には、結構オイルが溜まっていた。

(たぶん自分が吹きかけたもの)

マグネットブレーキのダイヤルを外すと、小さいボールが2個出てくるので注意。











で、全バラしまではいかなかったが、半分以上はバラした結果がこちら。

これ本当に戻せるのか?(爆)












さて、洗浄したパーツにグリスを塗っていきますよ〜。

楽しい〜♪










ラインガイドの下は、正直よく意味がわからない(穴)

半信半疑で組みました。












クラッチ部分もグリスを塗りながら戻していきます。










ドライブギヤも戻して、



清掃前(下)と比べると、ギヤの黄金色が眩しいw










カバーをねじ止めしたら、ああもう大丈夫そう。

1回やるとかなり覚えるわ〜。もう多分バンタムも大丈夫。(構造同じ)









肝心の動作は、クラッチのヨークの当たり面にグリスを塗りすぎたのか、

もともと塗られていなかったのか、大分クラッチを押す感触が「ぬるっ」となったが

ハンドルの巻き心地はグリスの適度な粘度が効いていい感じ。

(ベイトはある程度抵抗が欲しい)

飛距離は投げないとわからないけど、まあ7gくらいなら十分投げれるんじゃないかな(前からそう)



というわけで、生まれて初めてリールの全バラシに近いことをやってみましたが、

正直メンテ目的であれば、ここまでやる必要は感じませんね(爆)

ほとんど自己満足の世界でしょう。

ましてや、ここまで古いリールだと、部品が割れたら終わりというリスクもあるからね。



しかし、やはり分解禁止と言われている手持ちのマグシールドのスピニングリールの内部ギヤに

いつかはグリス塗りたいわぁ。

いや、あっちは構造がかなり複雑なので、手を出すつもりはありませんがね。

オールドは構造が簡単なので、その点では楽だと思います。




それでは、最後に、、、ニューBM-1ユーザーに幸あれ〜(爆)





(おしまい)





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↑使用したグリス等





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