恐怖の薪スト逆流 〜 そのメカニズムを考察

しく

2018年01月13日 15:27



薪ストーブの逆流・・・

期待に胸膨らませ、購入した薪ストーブで、こんな惨劇が待ち受けているとは、、、

購入前には、なかなか想像も付かないことでしょう。



・・・あれから1年、ようやく見えてきたそのメカニズム。

様々な情報から、私の中ではある程度確証が得られました。



キャンプ、薪ストーブ、逆流・・・そのメカニズムに迫る渾身の?技術系レポ

本日公開です。。。

(全部、素人の妄想ですので、話半分でお願いします。(笑))








2017年1月13日・・・今からちょうど一年前

私は、初めての厳冬期ふもとっぱら、2回目の薪ストキャンプ、に単身挑もうとしていた。



当日朝、マックスバリュ河口湖店から仰ぎ見た富士山の姿は、

今思えば、これから起こる惨劇を十分予感させるものだったが、

当時の私には、何も予測することは出来なかった。。。














そして、平日でガラガラだったふもとっぱら、

かなり前方(富士山寄り)に、この24時間後に倒壊する事となった当時の愛幕

小川・アルマディ4と薪ストを設営完了した。
















幕内のセッティングは、ご覧の通り。

よく見ると、ケンタ薪のウサギがのんきにピースをしているが、

ピースしている場合では無かったことは、1年前のレポを見れば明らかだろう。

2017/01/14












夕方になり、当然ながら薪ストを稼働し始めた。

確か、最初は順調だったように思う。。。











この日は、私の到着時点ではそれほどではなかったと記憶しているが、

午後から徐々に風が強くなり、慢性的な強風に時折突風が混じるという

かなりの悪コンディションだった。



そして19時を過ぎた頃から、さらに突風が暴力的となり、

ここからが恐怖の惨劇の始まりだった。



そう、薪ストの逆流が起こり始めたのだ。



突風で薪ストが逆流すると、薪スト内の炎は消え、(焚き火を失敗したような)臭い煙が、

幕内に充満する事になる。

一酸化炭素警報機も鳴りまくり、幕内は瞬時に地獄絵図と化すのだ。











これまで、あまり詳細に書いたことは無かったが、

この日は都合10回くらい、薪ストの逆流を経験した。


突風で逆流→換気→薪スト再点火→突風で逆流→換気→薪スト再点火→・・・


という無限ループを、ひとり永遠と繰り返していたのだ。

だから、下の写真は、上の写真よりもアングルがこなれている。(笑)

(つまり、何回目かの逆流時写真)











そう、ふもとっぱらで逆流するのは、簡易トイレのう○こだけではなかったのだ。(爆)













さて、いよいよ本題である。

ここからタイトル通り、薪スト逆流のメカニズムに迫ってみようと思う。



・・・薪ストはどうして逆流したのか?

それを推測するためには、逆転の発想がわかりやすいと考えた。



つまり、逆流させない方法ではなく、わざと逆流させる方法、

それを考えてみようというのだ。












いざ考えてみると、この細く長い煙突に逆らって、

テント内に煙を送り込むのは、意外に難しそうだと気付く。


扇風機は強風に代わる想定としたが、下図のように風を当てたところで

蚊取り線香の煙がテント内まで到達するとは、とても思えない。











私が使っているホンマの煙突トップは、このような形状。

逆流するときは、ここから強風が入り込んでいると思い込んでいたが、

いや、実際入り込んでいたのだが、

いざ、ここに扇風機で風を当てたところで、煙突内を逆流し

幕内までその風が到達することはないだろう。












下の写真は実際に左手から中程度の強風が吹いている状態だが、

扇風機で煙突トップに強風を当てたところで、このようになってしまうのが関の山だろう。


つまり、世の中とは皮肉なもので、逆流であれほど困っていたのに、

いざ、逆流させようとすると、意外と逆流させられないのである。











それでは、どうすれば逆流状態を作り出すことができるのか?



正解はこうだ。

扇風機をテント内に入れ、翼部分だけ、テント外を覗かせるように設置する。

これで一昔前の(壁に付いていた)デカイ換気扇のように、テント内の空気を排出してやれば、

煙突は吸気口と化し、見事、蚊取り線香の煙でテント内は充満・・・めでたしめでたし

と、なるわけだ。











次に、このときのテント内外(幕内外)の圧力差に着目してみる。

なぜなら、空気の流入・流出は


「圧力の高い方から低い方へ流れる」


という自然科学の原理によって、起こっているためで、

圧力差を考えることで、気体がどちらに流れるかを、理論的に把握出来るからだ。




模式図的に描くと、下図のようになる。

幕内:換気扇(扇風機)で気体が排出され・・・−(マイナス)

幕外:幕内よりは高いので・・・+(プラス)



つまり、換気扇で幕内の空気を強制排出し、

若干の負圧(真空)状態を作り出したことで、

幕内外の圧力差が生じ、幕外からの空気逆流が実現出来たことになる。



実際の薪スト稼働時には、煙突内には熱せられた気体による「上昇気流」が発生しているため、

逆流が生じるのは、


「圧力差による逆流」 > 「上昇気流」


となった場合のみだと考えられる。

つまり、少々の圧力差ならば問題ないが、大きな圧力差が生じると逆流するのだ。









以上が、扇風機を換気扇代わりにして、無理矢理逆流させた場合の推測メカニズムだが、

実際のフィールドでは、もちろん扇風機も換気扇も存在しない。


その状態で、どうやったら下図のような幕内外の圧力差を作り出せるのか?

そこが正にポイントとなる。













ここで、1年前の逆流体験に話を戻そう。


このとき、私は換気のため、幕上部のベンチレーションを「風下側だけ」開口していた。

どうして風下側だけだったかというと、風上側のベンチレーションを開けると

強風が幕内に流入し、とても寒かったからである。











風下側だけのベンチレーションを開けると、何が起きたか・・・?

幕の外側を通過する突風に、幕内の空気が吸い出されるような、

「真空イジェクタ」的な現象が起きていたと考えられる。



「真空イジェクタ」とは、空圧を利用した工業製品で、

高圧エアのみだけで真空状態を作り出すことが出来る。

その原理は、まさに上図のごとくである。












風下側のベンチレーションを開けてしまったばっかりに、

幕内の空気が、突風によって吸い出され、幕内の圧力はマイナスとなった。

(ここでいう「マイナス」とは、幕外と比較して「相対的に圧力が低い」という意味である。)



こうして、換気扇で意図的に作り上げた幕内外の圧力差と同じ状況を、

自然の力を利用して、再現することに成功?し、

見事、薪ストは逆流したわけである。。。(泣)













と、ここまで書くと、私が以前書いたレポを思い出される方も居るかもしれない。

2017/01/30


そう、このキャンプでの惨劇は、薪ストの逆流に留まらず、

翌朝には、撤収中にテント倒壊という、実に壮絶な結末を迎えていたのだ。



そのテント倒壊時の理論↓と、今回の薪スト逆流の理論は、全く同一の原理である。













・・・逆流させる方法はわかった。

では、どうすれば逆流を防げたのか?



実は、1年前のフィールドで、白煙まみれになりながらも、

私は、いくつかのアイデアを試していた。



そのひとつが、下図であるが、風下のベンチレーションを閉じ、

風上のベンチレーションを開けるというアイデアである。

これは、先ほどまで私が断定的に書いていた理論が正しければ、

まさに「正解」のはずであり、これであの晩を凌げたはずだが、結果は。。。



これでも100%逆流を防ぐことは出来なかった。

あの晩、逆流発生は、突風時に起こったが、

確かにこの方法で、突風襲来時の逆流発生の確率が

10割から4割程度までは下がった。

が、完全に防ぐことは出来なかったし、何より風上を開けると寒過ぎた。(汗)



では、両方のベンチレーションを閉じたらどうか?というのが気になるが、

これは記憶があやふやで、やっていないか、やったけど結果は上と同程度だったと思われる。










ひとつだけ鮮明に記憶しているのは、煙突トップの風上側に、

風よけとして、丸形はんごうのフタをアルミテープで貼り付ける方法である。


ここまで、(辛抱強く)読まれた方ならわかると思うが、

これは全く効果が無かった。



つまり、、、薪スト逆流は、煙突トップから押し込まれるものではなく、

内部からの吸引により発生するものなのだ。








・・・ということで、長々と私なりの「推測」を書いてみた。

元来、そのような強風下では、幕内での薪スト使用などもってのほかだが、

「消せば凍える」という状況下では、なかなか消火するという選択肢は取り難いものがある。



突風による「逆流」の先には、「テント倒壊」という最悪のシナリオが待ち受けていることは

常に頭の片隅に置いておく必要があるが、

その「間」で、解決策を求めたくなったときに、本レポの内容



つまり・・・風下の窓を開けるとロクなことが無い



ということを思い出して頂けたら、少しは問題解決の助けになるかもしれません・・・ね?

(↑最後だけ何故か弱気(爆))






(おしまい)

※本レポの内容は、全て個人の推測と妄想であり、参考にされる場合は自己責任でお願いします。





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