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ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)

ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)

勢いで書き始めた本書であったが、1週間放置していたら、うっかり失速するところであった。

鉄は熱いうちに打て

とは、よく言ったもので、鍛造ペグも熱いうちに打っているから強度が上がっているのだろう(笑)






↑前編はコチラ





以下、素人に毛の生えた程度の知識でお送りします(苦笑)
本内容により生じる如何なる損害の責任は負いません(爆)





第1章の振り返り




まずは第1章の振り返りから始めたい。

こちらが各材料の強度の指標となる「耐力」と「引張強さ」のグラフである。


ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)


ただ、前章でも述べたように、設計で使用する値は通常「耐力」である。

(「耐力」とは、元に戻らない変形が始まるギリギリのところ)



そこで、グラフを「耐力」だけのものにしてみる。


ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)


・・・どうだろうか?

基準となるスノーピークのソリッドステークはS55Cである。

村の鍛冶屋のエリッゼステークもS55Cだ。

あの強靭なS55Cを「耐力」で上回るのが通称64チタンである。

(1)でも述べたように、64チタンはS55Cの約半分の重さである。

更に言うと、S55Cはメッキなり塗装なりをしなければすぐに赤錆が発生するが、

64チタンはメッキをしなくても全く錆びない。

重さは半分で、耐力は上、耐腐食性は比べるにも値しないほど。

こうなると価格以外で64チタンを選ばない理由は無いように思われる。







第2章 ペグの強度




だがしかし!

よくよく考えていくと、ペグの強度計算は、それほど単純な話では無い。


まずは、ペグの強度について、一般的に見かける試験方法を見てみよう。







第2章−1 3点曲げ試験




初めに下の写真を見ていただこう。

これは「村の鍛冶屋」が公開している、自社製ペグ(エリッゼステーク)の3点曲げ試験結果である。

写真の中央上方からロードセル(荷重計測器)を仕込んだ「押し棒」がゆっくりと降りて来て、

「負荷荷重」と「変形量」がわかる仕組みである。

ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)

この試験は一見してわかるように、下の2つの支持部の距離に応じて試験結果が大きく変わるため、

同一条件で試験された結果を比較しないと意味がない。



その結果として、

<推定>ソリステが 2.2kN(224kgf)、エリステが弱い向きでも3kN(306kgf)だったとして、

エリステの優位性を訴求したものである。

村の鍛冶屋HP掲載ページ→



しかし、ほぼ同形状のソリステとエリステでそこまで差が出るのか?

実際に計算して比較してみよう。



上記の試験結果内で「曲がり始めの応力」というのは「曲がり始めの力」の間違いであるが

(応力は力を面積で割ったもの)

その試験結果の200kgfとか300kgfという値が計算で出せるか?というのが課題である。



最終的には下の絵のF(許容荷重)を求めたいわけだが、

それには下の曲げ応力の式のσに、その材質の許容応力=耐力を入れて計算すればよい。

Mは、曲げモーメントと呼ばれ、単純に「力×距離」だからイメージしやすいだろう。

Zは、断面係数と呼ばれ、この類の計算には欠かせないパラメータになる。

ここではペグの断面形状によってZの値が変わるわけだが、

その式は下の通りで、例えば円形状であれば、直径の3乗に比例した値となる。


ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)


ここでもう一度最初の式 σ=M/Z に戻ってみると、曲げモーメントMをZで割っているわけだから、

Zが大きい方が、σ(曲げ応力)が小さくなることがわかる。

つまりペグ断面の直径が2倍大きかった場合、Zはその3乗の8倍大きくなり、

そのペグに発生する曲げ応力は1/8に緩和されるのである。


例えば、あるペグで発生する曲げ応力が 800MPa だった場合、

2倍太いペグでの曲げ応力は 100MPaとなり、

これを例えば S55C の耐力590MPaと比較してみると、

前者では(恒久的に)曲がる、後者では(恒久的には)曲がらない、という判断が出来る。


つまり、何となく太い棒の方が曲がらないという我々の感覚を

断面係数Zを用いれば、数値で表現することが出来るのだ。





ということまで理解できれば、村の鍛冶屋の3点曲げ試験に戻って、

ソリステとエリステの許容荷重Fを計算してみよう。

写真だけで判断したが、試験対象はエリステ28で、支持点間の距離L=100mmと仮定した。

エリステは楕円形状の弱い方の向き(横長)で計算している。


ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)


一番下のF(許容荷重)の値を見て欲しいのだが、ここの数字が試験結果では、

ソリステ:2,200N
エリステ:3,000N


となっている。



・・・2倍ほど違うではないか(爆)

これは、そもそも材料の強度は590MPa以上 と、最低値で規定されることや、

S55Cを鍛造・・・要は鍛えたことによる効果が含まれるためだと推測する。(言い訳(爆))



いずれにせよ、村の鍛冶屋(エリステ)の変形・楕円形状をどう評価するかがキーとなりそうで、

スノピが正円φ8mmなのに対し、村の鍛冶屋は、短辺7mm×長辺9mmという微妙な関係である。

村の鍛冶屋(エリステ)を純粋な楕円として計算したのが真ん中の列で、

4角まで埋まっている長方形と見做したのが、右の列の結果だ。

実際の試験結果では、村の鍛冶屋の方が高い値を記録しており、

断面形状は長方形ケースで計算した方が実際の結果と合うことがわかった。





・・・とここで、改めて最後の表をよく見てみよう。

この表は一番上の「耐力」の値を元に、「許容荷重F」を求めているわけだが、

例えばここに64チタンの「耐力」を入れれば、許容荷重もそれに比例して大きくなる。


ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)


つまり、この計算方法では

同一形状のペグであれば、ペグの強さは、ペグ材料の「耐力」のみに比例する

と言える。



・・・が、果たして実際はそうであろうか?

そもそも上記の試験方法は、実際のキャンプでの使用条件には当てはまりそうもない。

そこで、ようやく本書が提唱する「ペグの設計手法」(強度計算手法)が登場するわけである。










第2章−2 オイラーの式





ここまで、ペグの3点曲げ試験について考察して来たわけだが、

実際にペグが曲がるシチュエーションを思い浮かべて欲しい。



それは十中八九、ハンマーでの打撃時ではなかろうか?



前出、3点曲げ試験結果の200kgfや300kgfというのは、

実際にペグを地面に挿した状態で、超強力に地面に固定されていたとすれば、

ガイロープで鬼のように引っ張った時にペグが曲がる力・・・の約半分程度と思われる。

(上記計算では、F/2 × L/2 → 実際には、F × L/2 くらい)

しかし、実際に400kgfもの力で引っ張られると、先に逝くのはテントのポールであり、

タープの生地である。



つまり、我々が経験するペグの曲がりというのは、通常使用中ではまずあり得なく、

設営のハンマー打撃時が限りなく100%を占めると考えられる。



そのため、ペグの強度を計算する際には、3点曲げなどの曲げ応力基準ではなく、

ハンマーの打撃を基準として、考える必要が出てくるのだ。


ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)


ここで登場するのがオイラーの式である。

この式は、「座屈」という現象に特化した式であり、

細長い柱に圧縮荷重を掛けることを想定している。



例えば立方体形状をいくら圧縮したところで、なかなかポッキリ曲がりはしないが、

割り箸を上下から強く圧縮すると、なんとなく真ん中あたりからバキッと割れてしまう

という事象を式で表したと思えば、おおよそ合っているだろう。


ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)
E:ヤング率  L:柱の長さ  A:断面積


ここで、注目して欲しいのが一番上の座屈応力の計算式であるが、

曲げ応力の計算式と登場人物が変わっているのである。

この式で新しく登場している E:ヤング率 こそが、ペグ設計の肝となってくる。








第2章−3 ヤング率と耐力




まずはこの表に戻ってみよう。

これは、第1章で一番初めに載せた各物性値の一覧表である。

比重、耐力、引張強さについては既に述べたが、

ヤング率もその材料を使用するにあたり重要な物性値となってくる。


ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)


ヤング率とは剛性を決定する物性値で、具体的にいえば荷重をかけたときの「たわみ量」に直結する。

例えば3点曲げの試験に戻ると、中央上から押し下げている部分の「たわみ量」(変形量)

は、以下の式で現される。


たわみ量 δ = F・L^3 / 48・E・I


ここで、I は断面二次モーメントと呼ばれ、断面係数 Z と似たようなニュアンスだが、

今注目すべきは E:ヤング率 で、つまりヤング率が2倍になれば、

たわみ量は1/2になるということである。



さて、数字の羅列だけではわかりにくいので、

上の表からヤング率だけを抜き出してグラフにしてみよう。


ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)


・・・どうだろうか?

まず気になるのが、軽量かつ最強だったはずの 64チタン の不甲斐無さである(爆)

A7075超々ジュラルミンに至っては、完全に名前だけの見掛け倒しで終わっている(爆々)

ちなみにこの71GPaというのは、そこらへんに転がってる一般的なアルミとほとんど変わらない。

航空機に採用され、名前も「超々」などという超合金的な名前なのだが、

ヤング率においては普通の庶民的なアルミとなんら変わりないのである。



64チタンと純チタンの関係も同様である。

この2つの材料で棒を作って、一定の荷重をかけた時のたわみ量(変形量)は、ほぼ同じなのだ。



ちょっとキツネにつままれたかのような感覚になったが、

ここでヤング率と耐力を並べて見てみよう。


ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)


ずいぶん見にくいグラフになってしまったが、そうなるのも仕方ない。

というのも、ヤング率と耐力に何ら相関が見当たらないからである。



例えばテントやタープのスチールポールといえば、カチコチのイメージがあると思うが、

あれがまさに高いヤング率の証だ。

これは耐力の低いSUS304やSS400でも同じことで、剛性という観点でいえば、

耐力では完全に劣る64チタンに対しても、明らかに優位性があることがわかる。

耐力が高いということは、限界荷重値が高いというだけで、

変形量が小さいこととは関係無いのだ。



ヤング率のグラフを見ていて、ふと気付いたのだが、

比重のグラフと形が似ているので、試しに並べてみた。


ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)


なんと驚いたことに、この両者には見事な相関が見られる。

人類は、様々な添加物により、材料の引っ張り強度や耐力を高めることには成功したが、

ヤング率を高めることは出来なかったようだ。

このデータは何とも人間社会にも共通するような話であり、実に興味深い。。。








第3章 座屈基準のペグの設計





と、いったバックボーンを以って、ようやく本論へ突入する。

筆者が提唱するペグの設計は、「曲げ」ではなく「座屈」を基準とした設計である。








第3章−1 座屈応力と耐力の比較





それでは各材料のペグについて、その座屈応力をオイラーの式で計算してみよう。


ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)
E:ヤング率  A:断面積  d:断面の直径


下の表の前提は、長さ200mm、直径6mm・・・つまりソリステ20と同形状のペグを

各材料で作った場合の座屈応力一覧である。

表の中には「耐力」も記載したが、この計算には一切利用しておらず、

上の式を見てもわかるように「E:ヤング率」に比例する結果となる。


ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)


数字だとわかりにくいのでグラフにしてみよう。

ヤング率に比例するので、見た目はヤング率のグラフそのままになる。

当然ながら、この座屈応力の値が大きいほど、

座屈しにくい=ハンマー打撃時に曲がりにくいということだ。


ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)


こうして見ると、式からも明らかなように、耐力が高いことは一切関係なく、

ヤング率が高い材料のペグ=曲がりにくいペグ

となる。

ただし、あくまで同形状で比較した場合の話だ。



さて、上記では、座屈「応力」で算出したが、感覚的には座屈「荷重」の方がわかりやすい。

要は、このペグに何kgfの荷重をかけるとペグがグニャッと曲がるか?という値である。



しかし、何故、座屈「応力」で算出したかというと、この値が、

その材料そのものの許容応力=「耐力」を超えていては、そこまで我慢できないからである。



そこで、この両者(耐力と座屈応力)を並べてみよう。

φ6mm × 長さ200mmのペグの場合、その関係は下グラフのようになる。


ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)


つまり、いずれの場合も、青(耐力)は、緑(座屈応力)を大きく上回っており、

先に限界が来るのは、座屈応力の方である、ということがわかる。



つまり、ペグのような細長い形状では、材料の強度(耐力)を発揮するまでもなく、

先にヤング率で決まる座屈応力を超えてしまい、ぐにゃりと曲がってしまうのである。



そういえば、アメドに付属のジュラルミンペグも、よく簡単に曲がってしまったが、

あれもヤング率の低いゆえの座屈応力の低さが主因と言えるだろう。








第3章−2 座屈荷重基準での設計





さて、ここまで来れば後はこの計算を実際のモノに当てはめるだけである。

まずは、スノーピーク社の不朽の名ペグ

ソリッドステーク20と30について、その座屈荷重を見てみよう。

座屈荷重とは、オイラーの式によって求められる、ペグがグニャッと曲がる荷重である。



座屈荷重 W = π^2・E・I / L^2
E:ヤング率  I:断面二次モーメント L:ペグ長さ
I = π・d^4 / 64 (d:直径)



下のグラフは、横軸をペグの直径、縦軸を座屈荷重とし、

L=200mmと 300mmの場合について、それぞれプロットした。


ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)


スノーピークのソリステ20はφ6mm、ソリステ30はφ8mmなのだが、

計算上の座屈応力は、それぞれ約300kgfと450kgfとなる。

つまりペグが硬い岩に当たった状態で、300kgなり450kgの重りをそっとペグの上に置くと

ようやくペグが曲がる、、、というのであるから、相当な強度である。

ただし、実際には重させいぜい500g程度のハンマーの衝撃力で、

これ相当の力を出すわけであるが、その計算は難しそうなので、ここでは触れない(爆)





しかし、このグラフを見て、改めて感じるのは、スノーピークの設計の妙である。

例えば先にソリステ20のφ6が決まっていたとする。

ソリステ30を直径いくつにするか?と考えた時に、

φ6のままでは、座屈荷重がソリステ20の半分ほどになってしまい使い物にならない。

φ7では、ソリステ20とほぼ同等の座屈荷重を得られるが、

やはり使用するキャンパーの心理的にも、ソリステ20よりも強い力で打ち込みたい。

そう考えると、経済的にもキャンパー心理的にも、

ソリステ30のφ8というのは実にちょうど良い直径に思えてくる。

スノーピーク社が、この直径を座屈応力の計算から導いたのか、

実際の使用感から導いたのかは、我々には知る由もないが、

奇しくもオイラーの式によって、その妥当性が証明されたと言っても良いだろう。


ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)
(↑再掲)


ちなみに、同じ形状のペグを64チタンで作ったところで、

座屈荷重はこの半分程度にしかならない。

いくら耐力が高くても、ヤング率が低ければ、座屈荷重は低くなってしまうのだ。




そこで、気になってくるのが、第1章で軽いのに強い!と絶賛した64チタンのペグである。

64チタンが軽いのに強いというのは、確かに間違いない。

しかし、剛性(ヤング率)はステンレスやS55Cの半分程度であり、

ペグの曲がりにはこれが効いてしまう(笑)


ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)


エリッゼ(ELLISSE) 鍛造 64チタンペグ エリッゼステーク 200mm MK-200TI MADE IN JAPAN(amazon)





・・・これは参った。

64チタンが夢の材料のように煽っておいて、

その実態は低いヤング率で S55C の座屈荷重には遠く及ばない。

・・・という絶望を救ってくれるのが、この村の鍛冶屋の64チタンペグである(爆)



ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)



なんと、このペグはソリステ20がφ6mmなのに対し、同じ200mm長さながら、

断面形状を太くしているのである。

断面はお得意の楕円形状で 6.8mm×8mm・・・つまり1〜2mm太くなっている。



こうなってくると、この形状での座屈荷重がいくつなのか気になってくる(笑)


それを計算したのが下の表である。

村の鍛冶屋の断面係数は、先の検証結果から、楕円ではなく長方形として計算し

その代わり、弱い方(短辺側)での値を採用している。


ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)


比較すべきは「座屈荷重」で、

S55C(ソリステ20)が 324kgf に対し、

64チタン(村の鍛冶屋)が 596kgf と大きく上回っている。



更には重量をカタログスペックで見てみると

ソリステ20:75g
村の鍛冶屋64チタンペグ:40g


と、これまた村の鍛冶屋64チタンペグの圧勝である。



つまり、これは正真正銘の 軽くて強い(曲がりにくい)ペグ

村の鍛冶屋が、巧みな設計力と64チタンの特性を利用して作り出したと言って良いだろう。



まあ、強いて難点をあげると、ロープを引っ掛ける部分が出っ張っていないので、

少し使いにくそうだが、これは64チタンの溶接割れリスクを回避したためだと思われる。



ここまで読んで賢明な読者諸兄は、純チタンと64チタンのヤング率がほぼ同じなら、

わざわざ64チタンを使わなくても座屈荷重は同じだということに気付いてしまうだろう(爆)





しかし、各材料の硬度を調べてみると、純チタンの硬度は S55C よりも大きく劣り、

例えば、硬い地層に突き当たった時に、ソリステよりも先端が変形しやすい。


ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)
(HV:ビッカース硬さ)


その懸念も64チタンを使えば、完全に払拭出来ており、これは各種物性値から見ても

かなり高性能なペグが誕生したと言えるし、

スノーピーク社は64チタンで、更に完璧な品質の耳たぶが付いたペグでも新発売しない限り、

村の鍛冶屋の後塵を拝することになるだろう。

今後のスノーピーク社の展開に注目である。









あとがき





そもそも、キャンプのペグというのは、*社の謳う通り、

「ペグは消耗品」という概念を変えた最強ペグ

ソリッドステークの誕生が無ければ、ここまでの進化を遂げることは無かったかもしれない。



しかし、一旦ペグの最適解を考えだすと、これが実に興味深い。

金属の棒1本という単純な構造ゆえ、そこに込められる技術の内容は、

ほぼ、材料の物性値と断面の形状のみ、という材料力学の教科書に則ったものとなる。

・・・という気付きがあり、本書の執筆に至ったわけである。



世は空前のキャンプブームであり、ペグの新規開発のスピード感もこれまでの比では無いだろう。

消費者としても、選択肢が増えるのは良いことであるが、

中には最近流行りのクラウドファンディングで、ウンチクだけは一人前の高価なペグも散見される。

みんな揃って3点曲げ試験をしているのが個人的にはウケるのだが(爆)

これは村の鍛冶屋の影響力だろう。





・・・さて、

偶然にも本書を手に取られた、幸運なペグ設計者、ないしはキャンパーの読者諸兄にあたっては、

耐力とヤング率が、どのようにペグ設計に取り入れられるべきかを理解出来たと思う。

(↑自己満足(爆))

今後本内容を参考とし、より良いペグの設計・購入に励まれることを祈念して、

本書の結びの言葉としたい。












↑よく考えられています(笑)

















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コメント
完璧な説明ですね。パチパチパチ・・・

そして、素材の性能は剛性が支配要因であることを導き出しましたね。
剛性と比重=密度が相関しているのも薄々感じていました。
証明された方は拝見しませんが、おそらくh、、、
密度が高い=分子間結合力が強い=変形しづらい。
というのは物理学の基本原理に反しない事象であると思います。

よく、材料メーカーのうたい文句に『比強度に優れている』と言いますが、
それがなんぼのもんなの?って思います。
というかそれが自分たちの頑張り(強度を向上させた)を自慢したいんでしょうね。

その3(応用編)は執筆されるのでしょうか?
さとー
2021年07月11日 22:13
さとーさん
おはようございます〜

あ、パッと見、間違えありませんでしたか?(笑)

剛性と比重の関係は、これまで気付きませんでした
自分で書いてると気づくこともあるのですね〜(笑)
確かにタングステンのヤング率は高いと聞いたことがありましたが
調べてみたら345GPa・・・最強ですね。重いけど(爆)
でも鉛や黄銅はやっぱり低くて、、、なんでしょうね?

材料メーカも出来ることは限られてますからね〜

その3は書かないですよ
もう満足です(笑)

しくしく
2021年07月12日 07:29
凄い!ヤング率と比重の相関グラフでちょっとゾワっとしました。
これは書いてて楽しかったでしょうね~w

私が昔持っていたマジンガーZの超合金の正体は何だったのか是非教えて下さい。

すけさんすけさん
2021年07月12日 08:24
こんにちは~♪
途中、長いな~爆と思いましたが、ヤング率と比重の比較表から面白くなって最後まで読めましたW

軽くて曲がりにくいペグいいな~と思いましたが、私もやっぱり引っ掛かりがないペグは購入するのにためらってしまいます。
曲がるよりもガイロープが外れるのが気になってしまう。。。
引っ掛かり作ってくれないのかな~

harukabiyoriharukabiyori
2021年07月12日 09:59
1話2話ともに楽しく読ませていただきました!
ネタ記事かと思いきや、本格的でビックリ!笑
さすがです!

非技術者には難解で読み飛ばしそうになりましたが、結論は「材料の物性値と断面の形状のみ」とはシンプルで驚きです。そして、わかりやすいですね。

ペグの設計の際には、本書を参考にさせていただきます〜♪笑

66
2021年07月12日 12:37
一通り揃えてみて
ペグは(ペグに限らず)軽量なものがいいなと考えるに至りました
ソリステ開発時の原点の前に戻って
ペグは消耗品と考えてみてはどうでしょう?

まあエリステ壊れないので
ペグを買い替えるなんてことは当面ないのでしょうけど

最後
村の鍛冶屋の64チタンペグを上げたのは意外な展開でした(爆)

shinn.shinn.
2021年07月12日 14:38
スバラシイです!

今回も面白くて最後まで一気に読んでしまいました!

メーカーからペグ案件が来るかもしれませんね!
製品化されたあかつきには購入させていただきます(爆)

その3では抜けにくいペグの研究をお願いします(爆)

ハルカゼハルカゼ
2021年07月12日 18:18
すけさん
こんばんは〜


ゾワっとしましたか〜、エンジニアですね〜(笑)


マジンガーZって、世代を感じますね
私より一世代上ですね
何でしょうね〜、亜鉛か何か?
本当に金属だったのですか???

しくしく
2021年07月12日 21:02
harukabiyoriさん
こんばんは〜


長くなっちゃいました〜(笑)
ヤング率と比重の関係で面白くなるって、、、harukabiyoriさんリケジョなの?


引っ掛かりのある64チタンペグ はamazonで沢山売ってますよ
中華製ですので外れたりもしているようですがね
まあ、ちゃんと溶接できれば外れないはずなんで、外れを買わなきゃ大丈夫なのかな〜

しくしく
2021年07月12日 21:04
6さん
こんばんは〜


ネタ記事ですよ(爆)


まあ、何だかんだ言っても棒1本ですからね
逆に棒1本でこれだけ引っ張れるのも驚きですね(笑)


ええ、ペグ設計の際には是非ご参考に〜って、設計するんかい!(爆)

しくしく
2021年07月12日 21:07
shinn.さん
こんばんは〜


なるほど、初心に戻るわけですね
確かにソリステを揃えると重いんですよね
あの、キャンプ始めた頃のソリステじゃなきゃ勝負できない!
みたいな強迫観念はなんだったのでしょうね(爆)


村の鍛冶屋の64チタンペグは太さが絶妙で思わず上げてしまいました
ステマ記事ではありません(爆)

しくしく
2021年07月12日 21:09
ハルカゼさん
こんばんは〜


あら〜、ありがとうございます
ちょっと長くなっちゃいましたが、もう今日書かないと終わらないと思って
雷雨の中で書きました(笑)


ペグ案件・・・50万円からお受けします(爆)
私はコスト度外視ですので、高いですよ〜(笑)


抜けにくいペグはプラペグで決まりですね
あれは異常です(笑)

しくしく
2021年07月12日 21:11
執筆お疲れ様でした。
材料力学の教科書代わりにもってこいな記事ですね(笑)

村の鍛冶屋のチタンペグが欲しくなりましたよ。
ただ、一本千円となると、無くしたときのダメージが大きいですね。

そのうち、しくさんの所に百本位とどいたら、カウプレお願いします(爆)

あんまあぱぱあんまあぱぱ
2021年07月12日 23:11
あんまあぱぱさん
おはようございます

教科書見ながら書きました(爆)

1本千円ですね〜
軽さをお金で買うということでしょうか
買うとなると10本くらい欲しくなりますからね(笑)
100本は要らないので15本でいいです(爆)

しくしく
2021年07月13日 07:50
こんにちは~

ペグ、ペグ、ペグ。。。
ヤング率、ヤング率、ヤング率。。。

もうペヤングの事で頭がいっぱいです(笑)

taku-ctaku-c
2021年07月14日 09:20
taku-cさん
ペヤングの激辛ですね
すごい辛いみたいですよ

しくしく
2021年07月14日 18:45
この1週間ブラウザを開くたびに
この記事と闘ってきたのですが…
5分経つと瞼が重くなり二話目に行くと
酒を飲んでしまうの繰り返しでしくさんの
言わんとしている事の30%程度の理解が続いています
申し訳ありません
ともあれ村鍛冶のチタンはいいものなんだろうと
曲がったペグをハンマーでコンコン叩いて真っ直ぐに
修正しながら思った次第です^^
ただ価格だけを見るとしょっ中ペグを失くしたり
忘れたりしてきているので許容金額を遥かに超えている印象です。
この記事のせいで醸造された物欲に折り合いをつけるには
オートキャンパーだからOKとかそんな話になるんでしょうね^^

劇団にひき劇団にひき
2021年07月15日 09:34
劇団にひきさん
こんばんは〜

むふふ、ちょっと長かったですね
書いているときはノリノリだったのですが、改めて読み直すと長くて
私も飛ばして読んでしまいます(爆)

そうなんですよね
確かに高いんで、よほどの軽量化の必要性がないと
手を出しにくいですよね
でも最近では大した理由もないのに高いペグも多くなってきたので
ちょっと一石を投じてみました(笑)

しくしく
2021年07月15日 22:06

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ペグの設計(2)(2021年ナチュログ社刊)
    コメント(18)